インフレとデフレの間で 2014 6 22
書名 インフレどころか世界はこれからデフレで甦る
著者 中原 圭介 PHP新書
私が思うに、先進国においては、
戦争でもない限り、インフレにはならないかもしれません。
先進国の家庭においては、
「買いたい、欲しい」と思う物は少なく、
あるのは、買い替え需要ぐらいなものでしょう。
物資の供給も十分であり、
さらに、消費者に対する価格情報も充実しています。
つまり、どの店で買えば安いかという価格情報です。
言い換えれば、消費者の間で
価格や製品に対する情報格差が少ないということです。
その上、流通網が高度に発達しています。
ここでいう流通網とは、宅配便のことです。
つまり、消費者にとっては、
「最適な購買」が可能な状況にあるのです。
このような状況では、インフレは起こりにくいかもしれません。
もちろん、中央銀行の「努力」で、デフレにもなりにくいかもしれません。
さて、私は、思い出すことがあります。
数年前の東日本大震災で、被災地においては、
数多くの工場が大きなダメージを受けました。
さらに、流通網も同じような状況だったと思います。
つまり、一定の「需要」があるにもかかわらず、
「供給」が止まってしまったという状況が発生したのです。
つまり、戦争が起こったのと同じような状況です。
しかし、日本では、インフレが起こらなかったのです。
20世紀の経済学は、インフレとの戦いでした。
しかし、21世紀の経済学は、デフレとの戦いでしょうか。
それとも、インフレとデフレの間で、経済学は悩むのでしょうか。
経済学の悩みは深く。
それでも、これが「福音」となるでしょう。
やがて、新しい経済学が構築されるでしょう。